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5. プロヴァンスの物産

Les produits régionaux
 

レストラン、朝市、お祭り、ワイナリーなど…より一層プロヴァンスを知るためには、ずばり、食べ歩きが一番!
ってことで、ざっとプロヴァンスの味を紹介!どれをお土産にしようか迷ってしまいます。

▼もくじ
オリーブとオリーブオイルプロヴァンス風オリーブのレシピタプナード黒トリュフチーズカマルグの天然海塩|地中海の魚|アロマ・ハーブアイオリティユルハチミツヌガーカリソンフリュイ・コンフィパスティスとスュズ

参考リンク
オススメ図書


 基本編「プロヴァンス・アルプス・コートダジュール地域圏のワイン
 基本編「ローヌ南部のワイン
 基本編「プロヴァンスのワイン
 番外編「ワインについて」「フランスワインについて
 写真館「エクスのマルシェ(裁判所広場の青物市)」「エクスのマルシェ(郵便局裏の魚市)

 


オリーブとオリーブオイル(olive et huile d'olive)


地中海世界では「生命と豊じょう」のシンボルであるオリーブは、今からおよそ2500年前にギリシャ人によってもたらされました。その実はオイルにも食用にもなり、木は丈夫で建材にもなります。まさに宝の木といえるでしょう。ちなみに旧約聖書の大洪水の章で、ハトがくわえて来たのもオリーブの枝。それでノアは陸地があることを知ったわけです。その図はタバコ「ピース」のロゴにもなっています。

オリーブの木の寿命は数百年といわれ、6年目で実をつけはじめ、20年で成熟します。オリーブの実は伝統的に11月から1月に手で収穫され、大きいものは食用として漬けられ、小さいものは圧搾されてオリーブオイルになります。「ヴィエルジュ=vierge」という一番絞りのオイル(いわゆる「ヴァージンオイル」)は5キロの実から1リットルしかとれないそうです。

現在では、ニース周辺とリュベロン地方がオリーブの産地になっており、AOC(フランス原産地呼称制度)には「レ・ボーのオリーブオイル」「レ・ボーの黒オリーブ」「レ・ボーの壊れオリーブ」が、AOP(EU原産地呼称制度)には「エクサンプロヴァンスのオリーブオイル」「オート・プロヴァンスのオリーブオイル」が認定されています(AOCについて詳しくは「フランスワインについて」)。

南仏オリーブ産地地図

※地図はGuideWebProvenceより


ヴァージンオイルはプロヴァンス料理に欠かせない存在であると同時に、ヨーロッパの医学ではコレステロールや動脈硬化など心臓・循環器系疾患の予防やデトックス作用が注目されています。現地では、体調を整えるために毎日一滴飲んだり、肌や手など日々のスキンケアに使われたり、最も身近な健康食品といえます。

食用のオリーブは、酒のおつまみや食卓の添え物となります。緑や黒、大小様々な種類がハーブやレモンと一緒につけてあったり、アンチョビや赤ピーマンや松の実を入れてあったり、味も豊富でマルシェではどれにしようか迷ってしまいます。

わたしがホームステイしたおばあちゃんの家では、自分の庭でとったものを自分で漬けていました。もちろん自家製のオリーブはおいしい!心豊かな生活を実感しました。

なお、エクスなど産地別のオリーブオイルやタプナード(次項参照)は地中海オリーブの専門店「O&Co.」で入手できます。特にオイルはワインのように様々な産地や味・香りがあり、塩コショウするだけでも味が変わりますので、あれこれテイスティングして自分の好みを探すのも一興です。

おうちでプロヴァンス風オリーブのお手軽レシピ


プロヴァンス風オリーブ材料プロヴァンス風オリーブ瓶詰め缶詰オリーブが、ヒト手間かけるだけで10倍美味しくなります!本場プロヴァンスのマルシェの味には負けますが、ちょっと気の利いたおつまみとしてホームパーティとかで好評です。

〈用意するもの〉
・オリーブ缶(種抜き、お勧めはCRESPOのアンチョビ入り)
・オリーブオイル(できればエクストラバージン)
・バルサミコ酢
・アンチョビのペースト
・ドライトマト(なくてもいい)
・ドライハーブ(タイムやローズマリーとか、お勧めはGABANのエルブドプロヴァンス)
・蓋付きの瓶

〈作り方〉
1)まず、オリーブ缶をあけて、保存液だけすてます。
2)ドライトマトを3センチ角くらいに切ります。
3)オリーブとドライトマトを瓶に移し、ハーブをこれでもかとふりかけて、隠し味にアンチョビペーストを大さじ2さじ、バルサミコ酢をキャップ2杯足します。
4)オリーブオイルでひたひたにします。
5)しっかり蓋をしめて、カクテルのようにシェイクしたら、一丁上がり!
冷蔵庫で保管してください(オリーブオイルが固まりますが、外にだせばまた戻ります)。

パンチ力が欲しい場合、ニンニクのこま切りや唐辛子の輪切りをいれたり、レモンをしぼるといいです。ワインのおつまみはもちろん、サラダにドレッシング代わりにかけても美味しいです♪分量とか材料をアレンジして、自分好みのオリジナルレシピを作ってください!なお、材料はお近くのやまやとかKALDIなど輸入食材屋で見つかります。


O&Co.l'A.O.C. de Nice ニースのAOCオリーブ
la route de l'oliviers リュベロンのオリーブ街道
O&Co. 地中海オリーブ専門店。日本では、恵比寿・三越、名古屋・高島屋、梅田・阪神百貨店にて
オリーヴの小枝  アルルのオリーヴオイル専門店「Fad'oli(ファドォリ)」から共同購入


南仏関連おすすめBOOK
育てて楽しむはじめてのオリーブ

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タプナード、アンショワード、ブランダード

プロヴァンスの人々が好む味覚の1つとして、語尾にアードがつくペースト状にしたソースがあります。パンや野菜スティックにつけて食べると、ワインが進みます。

種類
特徴
タプナード(写真左)
tapenade
オリーブとアンチョビとケッパーを刻んで、オリーブオイルとレモン汁を加えて練りこんだペースト状のソース。バゲット、スティック野菜・ゆで野菜、ゆで卵につけて前菜にしたり、白身魚のソテーやパン粉焼きに一振りしたり、パスタやローストチキンのソースにしたり、使い道いろいろプロヴァンス家庭の味。オリーブのヴァージン・オイルに小さじ一杯のタプナードをいれて、パンにつけるとこれまた美味しい。なお、オリーブの色によって黒と緑があり、緑のほうがより酸味があります。
アンショワード(写真右)
anchoïade
フォークでつぶしたアンチョビにオリーブ・オイルを合わせたペースト。生野菜のスティックや茹でたブロッコリーなどに付け合せる。しょっぱくて鰯の臭みがあって、日本のモロミソな感覚で美味しい。
ブランダード
brandade
すり身にした塩ダラをオリーブ・オイルとニンニクでムース状に仕上げたソース。イタリア、スペイン、ポルトガルでも同様のものが食されています。「かき混ぜたもの」というオック語に由来します。



・地中海オリーブ専門店 O&Co.」 日本では、恵比寿・三越、名古屋・高島屋、梅田・阪神百貨店

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黒トリュフ(truffe noire/ rabasse [Tuber Melanosporum])


土中に生育するキノコの仲間の黒トリュフは、強い香りと風味のある高級食材として、「黒いダイアモンド(diamond noir)」ともてはやされています。なかでもフランス南西部のペリゴール産(truffe du Perigord)が有名ですが、実際はプロヴァンス地方(主にヴォクリューズ県とドローム・プロヴァンサル)で8割が収穫されています(その他の産地として、ローヌ・アルプ地方、ラングドック地方、スペインでも収穫されます)。そのため、トリキャスタン産トリュフ(truffe du Tricastin)あるいはプロヴァンス産トリュフ(rabasse)とも言われ、AOC(原産地呼称)認定されています(プロヴァンス語では黒トリュフのことを"rabasso"と言います)。

一見するとなんてことのない握りこぶし大の黒い塊(20〜60g程度、1kgになるものは稀)ですが、
その生育には「赤土と石灰が混じった砂利がちな痩せた土地」「湿気のない地中海性気候」「ナラやカシなどの宿り木」といった3つの要素が必要とされるため、栽培が難しい上に土地の汚染やブドウ栽培に押されて収穫量も激減しており(ヴォークリューズ県において、現在は年間18トン程度、戦前は1500トン)、希少価値があって高値がつきます(キロ当たり300〜900ユーロ、月によって変動)。大事に大事にスライスして料理に使われるわけですね。

黒トリュフの収穫は冬場で、トリュフ狩りの犬を使います(昔はトリュフが好物のメス豚を使っていましたが、食いしん坊のため、犬に代えるようになりました)。トリュフ犬がマークした場所を「fouji」とよばれるカギ爪状の道具で掘り起こしていきます。12月頃になるとカルパントラなどにトリュフ市がたち、収穫された黒トリュフが現金のみで取引され、活気づきます。早いものでは11月に出てきますが、食用に適した完熟モノは1月15日以降が適当とされ、シーズンは3月中旬まで続きます。

なお、高価なイタリア産白トリュフ(truffe blanche d'Albaまたはtruffe italienne [Tuber magnatum])、ブルゴーニュ産灰色トリュフ(truffe grise de Bourgogne [Tuber incinatum])、最近になって市場に出始めた中国産黒トリュフ(truffe chinoise [Tuber indicum])、夏場に収穫される白トリュフ(truffe blanche d'ete [Tuber aestivum])などもありますが、何と言っても、黒トリュフ(トリキャスタン産トリュフあるいはプロヴァンス産トリュフ)が、香りや質の点でトリュフの女王といえます。しかも、採集して3日くらいしか本当の香りが楽しめないとあって、現地でしかその幸せを感じることが出来ない貴重品です。

遊学中、両親が遊びに来た時、アルプスの麓の4ツ星レストランに「黒トリュフづくし」を食べにいきました。メインはもちろん、前菜からデザートまで徹頭徹尾豪華三昧美食トリフ攻め。これでもかというほどの濃厚な香りに濃厚なソース。もう何年かは結構ですってな具合に貧乏留学生のお腹はびっくりでした!それにしても「ミシュラン(Michelin)」や「ゴーミヨ(Gaumillaut)」の高得点シェフは、どうしてこう好んで田舎に店を構えるのでしょうか。

トリュフ市(ヴォークリューズ県、ドローム県) 11月中旬〜3月中旬

カルパントラ Carpentras:金曜朝

リシュランシュ Richerenches:土曜朝

ヴェゾン・ラ・ロメーヌ Vaison-la-Romaine:火曜朝

ヴァルレアス Valreas:水曜朝

シャマレ Chamaret:月曜朝

グリニャン Grignan:火曜朝

サン・ポール・トロワ・シャトー Saint-Paul-Trois-Chateaux:火曜朝

ニヨン Nyons:木曜朝

シュズ・ラ・ルース Suze-la-Rousse:金曜朝

トリュフ祭り Les FÊtes de Truffes

リシュランシュ Richerenches:トリュフに捧げるミサ messe aux truffes(1月の第3日曜日)

サン・ポール・トロワ・シャトー Saint-Paul-Trois-Chateaux:トリュフ会館にてオムレツの試食


・リュベロン地方の黒トリュフ la truffe noire du Luberon 
・プロヴァンスの地トリュフ Truffe Terroire de Provence
・トリュフについて  Truffe and Truffe
・トリュフ会館 Maison de le Truffe

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チーズ(fromage)


プロヴァンスには牛乳系のチーズの種類があまりありません。降雨量が少ない上に石灰質の土地には、牧草が生えないからだそうです。代わりに、アルプス麓のヤギ(シェーブル)のチーズが有名です。

朝市やチーズ専門店にはショーケースいっぱいのチーズが並んでいて、何にしたらいいものか迷ってしまいます。店員さんにオススメしてもらうのが一番ですが、とりあえずは以下のチーズが定番と言えるでしょう。

シェーブルはクセがありますが、プロヴァンスのハーブや香料がまぶしてあったりして、とても美味しいです。夜にコバラが減った時にもいいですし、朝ちょっとなにかお腹に入れておきたいって時にもいいです。3日も経つとトロトロに溶けてきてしまうものもあります。発酵してるんだ〜とプチ感動。チーズは買いだめせずに、なくなったら買いに行く方がいいようです。東京では、東急東横などの「フェルミエ」や神楽坂「アルパージュ」などで入手できますので、お味見を!

バノン Banon
栗の葉に包まれた個性派のチーズ。プロヴァンスのハーブを食べた山羊のミルクで造り、さらにオー・ド・ヴィ(蒸留酒)に浸した栗の葉でつつんでいるため、クリーミーで香り高い。なかでも、茶色い葉でピリッとした味のものが、渋みも少なくて上質。最初は円形のおにぎり状になっているが、日が経つとトロトロになってきて、ニ度楽しめる。赤ワインと相性がいい。

・2003年AOC、アルプ・ド・オート・プロヴァンス県、ヴォクリューズ県、オート・ザルプ県(プロヴァンス・アルプ・コートダジュール圏)、ドローム県(ローヌ・アルプ圏)
ピコドン Picodon

オック語の"picant"(辛い)が名前の由来どおり、ピリッとした刺激のある山羊乳のチーズ。
濃厚なコクでほっくりとしてて甘みがあり、熟成が進むにつれてピリ辛に変身する。パンに乗せてオーブンで焼いて食べると、これまた美味しい。

・1983年AOC、ドローム県、アルデッシュ県(ローヌ・アルプ圏)、ヴォクリューズ県(プロヴァンス・アルプ・コートダジュール圏)、ガール県(ラングドック・ルシヨン圏)

ブルス Brousse 砂糖やジャムをかけたり、果物と一緒に食べるマイルドなチーズ。羊乳のほか山羊乳や牛乳でも造られる。

・アルプ・ド・オート・プロヴァンス県、オート・ザルプ県、アルプ・マリティム県、ヴァール県、アルプ・マリティム県(プロヴァンス・アルプ・コートダジュール圏)


fromages-provence.com  
オーダーチーズ・ドットコム  メルマガ「チーズ大好き」は食べ方などチーズ情報満載!

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カマルグの塩(sels marins)

ローヌ河口のデルタ地帯カマルグ西部、エグ・モルト(Aigues-Mortes,Camargue)産の、天然海塩。「白い金」とも呼ばれ重宝されてきました。地中海で最も古いといわれるこの塩田は、ローマ時代から塩の生産が行なわれ、中世において隆盛を極めました。なお、エグ・モルトは聖王ルイ9世の十字軍出征の港としても有名です。

オリーヴ・オイルと並んで、プロヴァンス料理に欠かせない存在であるカマルグの塩は、プロヴァンスの太陽と地中海が織りなす天の恵み。夏の季節風が吹き終わる頃、塩田にできた塩をていねいに手作業で採取して天日干しにします。カマルグの塩は、海水と土壌の性質がいいため、精製をしていないのにきれいな白色。塩の形によって「塩の花」「粗塩」「粒塩」の3種類があり、料理によって使い分けます。粗塩にプロヴァンス・ハーブが入って売っているものもあります。

加熱・漂白といった化学処理をせず、無添加の100%天然塩には、カルシウム、マグネシウム、カリウム(高血圧予防)に加えて、ヨード(脳疾患予防)、フッ素(虫歯予防)といったミネラル・微量元素がたっぷり含まれていて、 健康食品としても注目されています。同じフランスの大西洋産「ゲランド」よりも甘味があります。ちなみに「代官山ヒルサイドパントリー」では 塩の量り売りをしていて、カマルグが100gあたり100円で、ゲランドが120円でした。

また、ローマ時代からの温泉地エクスのタラソテラピー・スパ「テルム・セクスティウスThermes Sextius」では、カマルグ産の「塩の花」とラヴェンダーオイルをつかうマッサージやロクシタン製品を使ったエステがあります。

塩の種類
特徴
塩の花
fleur de sel
Fleur de sel de Camargue
塩田の表面に浮く塩の結晶。
別名「塩のキャビア」といわれるほど貴重で高価。
料理の仕上げに一振り
粗塩
sel gros
  塩田の下に沈んだ塩を天日干しにしたザラメの塩。
煮込み料理などに
粒塩
sel fin
  粗塩を細かく砕いたもの。
あらゆる料理の味付けに


・クジラ印の海塩(カマルグ産)LA BALEINE
…エグ・モルトでは塩田見学ツアーができる
・ゲランドの海塩(ブルターニュ産)Sel de Guerande 「海塩博物館 Musee des Marais Salants」テーマパークも
・テルム・セクスティウス Thermes Sextius,Aix-en-Provence …エクサンプロヴァンスのタラソ・スパ

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地中海の魚(poissons de Méditerranée)

地中海に面しているため、魚介類の料理が食べられます。かの有名なブイヤベースはもともと漁師料理。

小魚のごった煮のスープで、漁から帰ってきて冷えた身体を温めるものだったそうです。
魚の種類
タイ la daurade
マグロ le thon
 
イワシ la sardine
 
カタクチイワシ l'anchois
塩漬けにしてアンチョビに。
カサゴ la rascasse
 
ハタ le merou
 
ウツボ la murene
 
アナゴ le congre
 
タツノオトシゴ l'hippocampe
 
スズキ le loup
 
ヒメジ le rouget
 
サバ maquerau
 
エイ raie
エイひれのフライなど
ドチザメ saumonette  
シタビラメ sole  
甲殻類  
   
頭足類  
   
貝類  
   

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アロマ・ハーブ(herbes / plantes aromatiques)


プロヴァンス地方は昔からハーブ(香草)の豊富なことで有名で、野生や栽培を問わず、食用、ハーブティー(tisane)、香水、精油、薬、芳香療法など、さまざまに活用されています。

とくにプロヴァンス料理では香り付けのスパイスとして欠かせません。ローズマリー、コリアンダ、バジリコなどに加え、肉料理にはタイム、魚料理にはウイキョウやサルビアを使います。そのほか、ハーブティーには腎臓の働きをよくするカモミールや肝臓によいヴァーベナ、香水にはラヴェンダーやジャスミンや柑橘類の皮、アペリティフ(aperitif)の原料にはアニスやミントなどが使われます。

ちなみに中世においては、ラヴェンダーはペストの消毒薬として活用され、ヴァーベナは魔女が恋薬に入れていたと言われています。

日本語
(和名)
francais
写真
特徴・用途
ニンニク
ail
料理
アニス
anis
 

風味…スパイシーで清涼な芳香
薬効…消化促進、整腸効果、腸内ガス緩和、気管支疾患、産後、防虫
料理…お菓子、カレー、魚介類、スープ・シチュー、ピクルス
その他…ハーブティー、風邪薬、食前酒「パスティス」の原料

バジル、バジリコ
(メボウキ)
basilic
 

風味…シソに似た高貴で爽やかな甘い香りと微かな辛味
薬効…強壮 殺菌。
料理…スパゲティー、ピッツア、トマト料理などイタリア料理の香味料

カミツレ
(カモミール)
camomille
 

風味…甘いリンゴのような香り
薬効…精油は鎮静、消化促進作用
その他…ハーブティー、入浴剤や染色

コリアンダ、シャンツァイ、パクチー
coriandre
  風味…独特で強烈なにおい
料理…若い葉は肉、魚料理の風味づけ。実はカレーやピクルス用のスパイス
タラゴン
(セイヨウヨモギ)
estragon
 

風味…アニスに似た甘さと、セロリーに似た苦味
薬効…食欲増進、健胃、消化不良、リューマチ、関節痛、頭痛、歯痛、月経不順
料理…魚料理のソース、エスカルゴ、ビネガー・ドレッシング、タルタルソース
その他…ハーブティー、入浴剤

フェンネル
(ウイキョウ)
fenouil
 

風味…エキゾチック
薬効…消化促進、せきどめ、歯痛
料理…魚料理や肉料理
その他…ハーブティーやハーブ酒、果実は漢方薬

ジャスミン
jasmin
風味…メロンのような甘く強い香り
薬効…抗うつ、催淫、鎮静、鎮痙、不妊症、分娩、母乳
料理…料理の付け合せ(インドネシア)
その他…香水、精油、化粧品、お茶(中国)
ラヴェンダー
lavande
風味…エキゾチックですっとした清涼感
薬効…殺菌、防腐、血圧降下
その他…香水、精油、化粧品、芳香剤・ポプリ
ラヴァンダン
lavandin
  香水、精油
マジョラム
(マヨラナ)
majolaine
  風味…スパイシーでタイムやオレガノに似たすっきりした香りとかすかな苦み
薬効…神経を鎮める効果、入浴剤やポプリの材料
料理…モツなどの肉料理の臭い消し、サラダ
ミント
(ハッカ)
menthe
風味…すっとした清涼感、リンゴやパイナップルの香り
薬効…メントール成分が消化促進、強壮、消毒、リラックス効果
その他…ハーブティー、ガム・お菓子、入浴剤、化粧品、アペリティフの原料
オレガノ
(ハナハッカ)
origan
 

風味…マジョラム、タイムに似た香りとほろ苦さ。
料理…肉・魚の臭み消し。チーズ、トマト、パスタ類、トマト料理、煮込み料理
その他…花はドライにしてリースやポプリ

ローズマリー
(マンネンロウ)
romarin
風味…新鮮で甘い芳香とほろ苦み
薬効…消化促進、防腐・抗菌、神経安定・抗アレルギー、酸化防止
料理…ラムなど臭みの強い肉料理の臭い消し・香り付け、魚・甲殻類、鶏肉
その他…入浴剤、化粧水、ヘアリンス、ハーブティー、食用油
サントリナ/ラベンダーコットン
(ワタスギギク)
santoline
 

風味…カモミールやラヴェンダーに似たすっきり甘い香り
薬効…防虫、月経不順
その他…ハーブティー、ポプリ

サリエット/セヴォリー
(キダチハッカ)
sariette
 

風味…ピリッと小気味よい辛味、タイム、ローズマリー、コショウに似た風味
薬効…消化促進、精神衰弱、喘息、気管支炎、口内炎、歯痛、健胃、強壮
料理…「豆のハーブ」。豆料理に使うと腸内ガス発生を抑制
その他… 入浴剤、ポプリ、ハーブティー、媚薬としての効用も

セージ(ヤクヨウサルビア)
sauge

風味…スパイシーで爽やかなほろ苦さとヨモギに似た香り
薬効…防腐、消化促進、解熱、精神安定、美肌、老化防止
料理…腸詰や肉加工品など魚肉類の臭い消し
その他…ハーブティーやポプリ、入浴剤、ソーセージの語源

リンデン
(セイヨウボダイジュ)
tilleul
風味…甘くすっきりとした薬草味
薬効…鎮静・発汗・浄化作用、陣痛、不眠症、関節炎、胃腸強化
その他…ハーブティー

タイム
(タチジャコウソウ)
thym
fabigoule

 

風味…スパイシーでレモンのようなすがすがしい香り
薬効…抗菌防腐、風邪、消化不良、駆虫。チモール成分が気管支炎に効く
料理…鶏肉や牛肉の煮込み料理、魚、ラム料理の臭い消し・香り付け
その他…リースなどのクラフト品

レモンヴァーベナ
(クマツヅラ、コウスイボク)
verveine

 

風味…すがすがしい柑橘系の香り
薬効…リラックス、消化促進、偏頭痛、無気力、憂鬱、吐き気、不眠
料理…鶏肉・白身魚、ジャム・ゼリーの香り付け、サラダ
その他…ハーブティー、ポプリ、入浴剤。「祭壇に飾る草」の意味

わたしがホームステイした家のおばあちゃんの自慢は「わたしの料理に使うハーブは100種類以上あるのよ!」。見ると庭に生えている草木を香り付けに使っていました。どれも雑草ではないらしい!おばあちゃんは朝起きてくると1日中夕飯の支度をしていました。なんでも毎週火曜日に食べに来る人がいうには、「過去5年間同じ料理を出したことがない」そうです。本当に美味しい料理ばかりで、もっとレシピを教えてもらえばよかった…

ローズマリー、タイム、マジョラム、バジル、セヴォリー、セージ、オレガノを、麻やプロヴァンス柄の小袋に詰めた「エルブ・ド・プロヴァンス herbes de Provence (プロヴァンスのハーブ)がスーパーなどで手に入るので、実用的なお土産にもなります。 日本では、GABANのエルブドプロヴァンスなどが入手できます。


・プロヴァンスの生活「花・植生
・プロヴァンスの工芸品「ラヴェンダーとラヴァンダン


・かんぽのホームページ>暮らしの中のハーブ


南仏プロヴァンスのハーブたち

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アイオリ(aioli)


マヨネーズとオリーブ油にニンニクを加えた、白黄色のソース。作っている様はモルチェというオリーブの木か大理石製のすり鉢で「ゴマスリ」しているようです。サラダなどにつけて食べます。

ニンニクとサフラン粉、卵黄、ゆでジャガイモ、サフランをオリーブオイルで練ったオレンジ色の濃厚なソース「ルイユ rouille」は、薄切りのガーリックトーストに塗りたくってから、ブイヤベースやスープ・ド・ポワッソン(魚のスープ)などに浮かべて食べます。


家庭でできるブイヤベース

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ティユル(tilleul)

フランス語で「ティユル」、英語で「ライムフラワー」。日本語辞書で調べると「菩提樹」「シナノキ」「リンデン」とありますが、ハーブティーの葉っぱといった方がピンとくるのでは。ほのかな香りが好まれ、多量に含んだフラボノイド類には消化と安眠を助ける効果があります。効能は「神経の緊張緩和・不眠症の予防・興奮状態の鎮静 」。



バロニー地方でフランスの総生産の90%を栽培しています。6月末に花だけを肩掛けの白い袋に摘み取り、ハシゴにかけていきます。収穫後は品質保持のため日陰で干し、7月の最初の水曜日に行われる「ティユル祭り」で売り出されます。


・バロニー地方薬用ティユル生産者組合 Syndicat des Producteurs de Tilleul Officinal Baronnies

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ハチミツ(miel)

プロヴァンスのハチミツは本当に美味しい!
花やハーブの種類が豊富だから、ラヴェンダー、アカシア、オレンジの花、ローズマリー、タイムなどなど、味もさまざま。ハチも迷っちゃう。スーパーよりも朝市で買うのがオススメ。


・エクスの養蜂家 Apiculteur en Provence

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ヌガー(nougat)

プロヴァンスの香り濃い、はちみつとアーモンドのお菓子。北部のローヌ川沿岸のモンテリマー(Montelimar)のものが有名です。はちみつと砂糖を溶かして混ぜ合わせてから、さらに卵の白身を泡立てたものと混ぜます。アーモンドを入れて型で固めてでき上がり。チョコレートのような板状になります。

アーモンドが30%以上入っているものだけに「モンテリマーのヌガー」という名前が許されるそうです。黒と白があり、黒い方は日本のグリコのように柔らくなくて、カリカリしていて美味しい。適度な甘さがやみつきです!

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カリソン(calisson d'Aix)

オレンジピールとメロンの砂糖漬けにアーモンドペーストで焼いた、白くて菱形の甘ーいお菓子。ちなみに、カリソンの語源には、数種類の説があるようです。

1) 15世紀のルネ善良王の再婚の挙式の時に作られた。
2) 1630年のペスト回避の誓願を記念して

毎年9月1日にエクサンプロヴァンスのノートルダムドゥラセド教会(eglise Notre-Dame-de-la-Sed)から発売されます。エクスの大司教がラテン語で "Venite ad Calicem"と祈りを捧げたのが"Venes toui i calissoun"(プロヴァンス語)や"Venez tous au Calisson" (フランス語)に訳されて、「カリソン」という名前がこのお菓子につけられました。

類似品も出回っていますが、エクスで作られるものが本家中の本家。高級なためパリ・ドゴール空港の免税店でも売っているので、お土産をわすれたときにはいいかも。


・ルネ王のカリソン・デクス Calisson d'Aix du Roy Rene

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フリュイ・コンフィ(fruit confit)

桃、さくらんぼ、オレンジなどの果物をシロップで漬け込んだ砂糖菓子。果汁と砂糖でとにかく甘ーい。リュベロンの中心に位置する街アプトが有名だが、ニースなどのお菓子屋でも手に入るし、イタリアでも食べられる。


・フロリアン Confiserie FLORIAN

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参考リンク

 

フランス政府観光局オフィシャルサイト
ワインやスパなど、テーマ別の旅プランも。

sopexa japonフランスチーズ
フランス食品振興会による、フランスワインやチーズの紹介。
フランス美味しい旅ガイドプロヴァンス・アルプ・コートダジュール
地方別にお菓子、郷土料理、ワイン、レストランなどを写真つきで詳説。

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オススメ図書


南仏プロヴァンスのハーブたち
広田せい子(文)、広田尚敬(写真) 文化出版局
ティユール(菩提樹)の騎士号を持つハーブ研究家の著者が、ハーブの故郷プロヴァンスの日常の魅力を存分に紹介。「プロヴァンスのハーブ辞典」「ハーブ市場巡り」「ハーブを使ったプロヴァンス料理」「プロヴァンスでのファームステイの話」「ハーブティー」「ハーブ治療」「ハーブのある風景」など、ハーブをよく知らなくても楽しめる。きれいな写真を見るだけでワクワクしてくる

育てて楽しむはじめてのオリーブ
オリーブの本
岡井 路子 (監修), LLPオリーブの本をつくる会 (編集) 主婦の友インフォス情報社

南仏エクステリアに欠かせないオリーブだが解説本が多くない中、本書は、日本で入手しやすい品種の特徴や植えつけや剪定など栽培方法から自家製オイルや簡単料理のレシピまで、オリーブの全てが広く浅くわかる。読みやすいテキスト、写真やイラストもナチュラル系で好感もてる。南仏の古木にかなわないまでも、この本を参考にたくさん実をつける立派な木に育てて、オリーブを収穫して、myエクストラバージンオイルでパスタ作る日を夢みるなど、栽培モチベーションが上がってくる。


南仏プロヴァンスの12ヶ月 A Year in Provence
ピーター・メイル(著)、池央耿(訳) 河出文庫
ご存知、1990年代のプロヴァンス・ブームの火付け役、世界で100万部を売り上げたベストセラー。1989年度イギリス紀行文学賞受賞。リタイアしてリュベロンに移り住んだイギリス人元広告マンによる、プロヴァンスでのスローライフ賛歌。移住して1年は名所といわれる場所を訪れたことがなかったほどに、プロヴァンスの田舎暮らしを愛した

南仏プロヴァンスの木陰から Toujours Provence
ピーター・メイル(著)、小梨直(訳) 河出文庫
「南仏プロヴァンスの12ヶ月」の続編。生きることの楽しさがあふれ出る、リュベロンでのリタイア生活記。「グルメ二本勝負」「パスティス講座」「シャトーヌフ・デュ・パープ試飲の心得」など、もくじを見るだけでもワクワクしてくる。ちなみに、本著の成功によるブーム到来で皮肉なことに静かな田舎暮らしを壊されてしまった著者は、すでにイギリスに戻って出版業を営んでいるとか

ヨーロッパものしり紀行 くらしとグルメ編
紅山 雪夫 新潮社
元旅行代理店のベテラン添乗員が、ヨーロッパのあれこれウンチクを案内する「読む観光本」。より踏み込んだ知識をもてば、他人任せのツアーより、断然ヨーロッパ旅行がイキイキしてくる。
シリーズ第二弾。チーズやワインやレストランなどの食事から城塞や家やローマ遺跡の建築まで、ヨーロッパ旅行で出会う現地の生活文化を幅広く紹介。
プロヴァンス関連としては、ニームのローマ水道橋の建築の秘密、カマルグに住むジプシー(ロマ人)の知られざる生活、香水の都グラースの花精油の製造法などがわかりやすい文章で説明されている。

南仏プロヴァンスの家庭料理ノート
南仏プロヴァンスの家庭料理ノート
パトリス・ジュリアン 講談社
来日20年のパトリス・ジュリアンによるガストロノミー本。ハーブやオリーブオイルをふんだんに使った、自然派でヘルシーなプロヴァンスの家庭料理を紹介。いわゆるオシャレなフレンチではないけれど、料理・ソース・デザートも含めて約60品ものレシピが四季ごとにランチ・夕食別に載っているのが親切。シェーブルチーズのマリネやぺルノー入りフルーツサラダなど、料理素人の自分でもトライしてみようかなと思わせてくれる手軽なレシピがうれしい。実際のところ、味は現地に行ってみないとわからないものだが、盛り付けはホームパーティーの参考にもなるし、インテリアなどは写真集としても楽しい一冊。さらにエッセイはよりプロヴァンスの日常を知ることが出来る。もう10年以上前の本とはいえ、伝統料理ばかりだからまったく色あせていない。


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