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プロヴァンスのユネスコ世界遺産

アルルの古代闘技場  

2002年6月現在、歴史遺産の宝庫・フランス全土で29ケ所がユネスコ世界遺産(the World Heritage, UNESCO)に登録されていますが、そのうち、2000年以上の歴史に恵まれているこのプロヴァンスでは、5ケ所が登録されています。

・オランジュのローマ劇場とその周辺及び「凱旋門」
・アルルのローマ遺跡とロマネスク様式建造物群
・ポン・デュ・ガール(ローマの水道橋)、アヴィニョン歴史地区:教皇庁、大司教座総体およびアヴィニョン橋
・フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路

それぞれローヌ河流域に位置し、まずは抑えておきたい有名な観光スポットとなっています。

▼もくじ
 プロヴァンスの世界遺産|オススメ図書


写真館「プロヴァンスのローマ遺跡


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プロヴァンスの世界遺産


アルルのローマ闘技場アルルのローマ遺跡とロマネスク様式建造物
Monuments romains et romans d'Arles
Roman and Romanesque Monuments of Arles

・1981年登録 ブッシュ・デュ・ローヌ県
・円形闘技場(長径136m、短径107m、25,000人収容)
・古代劇場(紀元前25年頃建造)
・サン・トロフィーム大聖堂(ロマネスク様式、11世紀末)

・地下回廊とフォルム
・コンスタンティヌス公衆浴場(3世紀前半)
・ローマの城壁
・アリスカン(ローマ時代〜中世)
・小集会場(ローマ時代、アルラタン博物館内)

【見どころ】
ローマの植民市として発展したアルル。
古代劇場(Théâtre Antique)は観劇用に建造された。中世以降破壊されて大部分が失われてしまっていますが、2本の柱や階段席が残っていて、民俗衣装祭などの会場となります。なお、17世紀に発見された「アルルのヴィーナス」像は、現在ルーヴル美術館に収蔵されています。一方、円形闘技場(Amphitéâtre)は保存状態が良く、現在でも闘牛が行われその熱狂は当時を彷彿させる。 この2つは規模の大きい都市にしか造られない。これら以外にもコンスタンティヌス浴場跡(Thermes de Constantin)や地下回廊とフォリューム公共広場(Cryptoportiques et forum romain)、小集会場(exedre romain)なども残り、往時のアルルの繁栄ぶりがしのばれる。
サントロフィーム教会(L'église St-Trophime)は、聖トロフィムスの聖遺物が納められている教会。11世紀から12世紀にかけて建造され、もともとは大聖堂(司教座聖堂)であった。その後改築を経て現在の形になったが、1801年に小教区教会に格下げされた。正面入口のポルタイユは、ロマネスク期の美しい彫刻で飾られている。回廊の柱に刻まれた彫刻の数々も有名である。
アリスカン墓地(Les Alyscamps)は、ローマ時代からの墓地。アルルの城塞の外、アウレリア街道沿いにあり、13世紀頃まで墓所として名高く、アルルの聖人や歴代大司教をはじめ多くの者が埋葬されることをのぞんだ。ルネサンス期以降に美しい彫刻が施された石棺が持ち去られたり、建材に流用されるなどした。19世紀にはゴッホ、ゴーギャンなどが描いている。


ウィキペディア「アルルのローマ遺跡とロマネスク様式建造物群
Arene d'Arles アルルの闘牛(円形闘技場で行われるスペイン式およびカマルグ式)

オランジュのローマ劇場とその周辺、凱旋門
オランジュのローマ劇場Théatre antique et ses abords et <Arc de Triomphe> d'Orange
The Roman Theatre and its Surroundings and the Triumphal Arch of Orange

・1981年登録 ヴォークリューズ県
・ローマ劇場(舞台の幅103m、壁の高さ36m、10,000人収容)
・凱旋門(高さ22m、ローマ領内で3番目の大きさ)

【見どころ】
ローマの植民市として発展したオランジュ。
初代ローマ皇帝アウグストゥスの時代に造られた劇場は最も保存状態がよい遺跡の1つで、3.55メートルのアウグストゥス像も発見された。現在でもコレジー (Chorégies d'Orange) という夏祭りで現在でもオペラやコンサートが開催される現役の劇場でもあり、その音響の良さに驚かされる。
凱旋門はアルルとリヨンを結ぶアグリッパ街道の途上に造られた。ガリア人とローマ人の戦闘や戦利品などがレリーフとして刻まれている。


ウィキペディア「オランジュのローマ劇場とその周辺及び凱旋門
Chorégies d'Orange コレジー・ドランジュ(オペラ、クラシックなどの芸術祭、7〜8月開催)

ポン・デュ・ガール(ローマ水道橋)
ポンデュガール水道橋Pont du Gard (Roman Aqueduct)

・1985年登録 ガール県
・長さ275m、高さ49m、三層のアーチ構造、石造
・紀元前1世紀末頃建造

【見どころ】
ローマの植民市ニームに水道を引くために、がルドン川の上に架設された水道橋。3層式になっていて、最上層に水が流れた。高さ49 m もの圧倒的な大きさはもちろん、約50キロ離れたユゼスの水源地から高低差たった17mにもかかわらず毎日2万トンの水を供給し続けた、ローマの測量と建築技術は驚愕。現在は下層のみ歩くことができる。夕焼け時の水道橋にかかる光と陰のコントラストが美しく、川遊びもできてピクニックに最適。アヴィニョンまたはアルルからバスやレンタカーで行ける。


ウィキペディア「ポン・デュ・ガール
Pont du Gard 公式サイト

アヴィニョン歴史地区
アビニョンのサンベネゼ橋Centre historique d'Avignon
Historic Centre of Avignon

・1995年登録 ヴォークリューズ県
・教皇宮殿(14世紀)
・プティ・パレ(14世紀)
・城壁
(14世紀)
・ロシェ・デ・ドン岩壁
・ノートルダム・デ・ドン大聖堂(12世紀)
・サン・ベネゼ橋(1177〜1185年建造)

【見どころ】
14世紀、ローマ教皇7代の「アヴィニョン捕囚」により、文化の粋が集ったアヴィニョン。
教皇宮殿(Palasi des Papes)は残念ながら市民革命時に破壊の憂き目に会い外壁しか残されていないが、中世ゴシック様式建築物のなかでは最大級を誇る重要なもので、規模の大きさに眼を奪われる。プティ・パレ(Petit Palais)は14世紀に建てられた司教館で、現在は美術館となっている。ボッティチェリ作『聖母子』、クリヴェッリ作『四聖人』などルネサンス期のイタリア絵画やアヴィニョン派の絵画のコレクションが充実している。
ノートルダム・デ・ドン大聖堂(Cathédrale Notre-Dame des Doms)は12世紀半ばに建造されたロマネスク様式の教会堂で、何度となく改修されている。ひときわ高い西側の鐘楼の頂上の黄金の聖母像は、1859年に据え付けられた。内部の礼拝室には、ヨハネス22世(14世紀)のゴシック様式の墓がある。
ローヌ河に突き出たサン・ベネゼ橋(Pont Saint-Bénézet)は「アビニョン橋の橋の上で」の歌の舞台でもある石造アーチ構造。もともとは対岸のヴィルヌーヴ・レ・ザヴィニョンまでかかっていたが、度重なるローヌ河の氾濫によって大半がなくなってしまったままになっている(22あったアーチのうち3つが現存)。
これらの全ては、市内観光用のプチ・トランに乗ると効率良く見て回れる。


ウィキペディア「アヴィニョン歴史地区:教皇宮殿、大司教座の総体、およびアヴィニョン橋
Festival d'Avignon アヴィニョン国際演劇祭(7月開催)

フランスのサンティアゴ・コンポステーラへの巡礼道
アルルのサントロフィーム大聖堂Chemins de Saint-Jacques-de-Compostelle en France (Chemin de Toulouse)
Routes of Santiago de Compostela in France

・1998年登録
・トゥールーズの道(11〜12世紀):アルル(サン・トロフィーム大聖堂)〜サンジル・デュ・ガール聖堂〜トゥールーズ(サン・セルナン大聖堂)〜ピレネー山脈越え

【見どころ】
アルルのサン・トロフィーム大聖堂は中世に流行したサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路の出発点の1つでもあり、アルルがイタリア半島とイベリア半島を結ぶ重要拠点であることがわかる。奇々怪々なロマネスク建築と彫刻が素晴らしい。


ウィキペディア「フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路
Chemins de Saint-Jacques-de-Compostelle 公式サイト(地図・道程、宿、気候、標識など)

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オススメ図書


フランス世界遺産の旅 Voyage du patrimoine mondial de France
山田 和子 小学館

美しい写真と詳しい文章で、フランス世界遺産全28か所を巡る旅行ガイド。主要地図・アクセス情報入り。
南フランスに関しては「古代ローマの遺跡が数多く、中世ロマネスク様式、ゴシック様式の聖堂も多い」と紹介され、プロヴァンスでは「オランジュのローマ劇場と凱旋門」「アヴィニョン歴史地区」「アルルのローマ遺跡とロマネスク洋式建築群」「ローマ水道橋」および「サンティアゴ・コンポステーラの巡礼道・トゥールーズの道」が記載されている


世界の建築・街並みガイド〈1〉フランス・スペイン・ポルトガル
ヨーロッパ建築案内〈1〉
羽生 修二 (編集), 西山 マルセーロ (編集), 入江 正之 (編集)
エクスナレッジ

古代から現代までの重要な建築や街並みなど見所が満載。ガイドブックとは違った専門家による視点で、写真一枚とともに簡潔な説明がされている。所在地が地図で示してあるのもうれしい。
プロヴァンスからは、オランジュの古代劇場、セナンク修道院、アヴィニョンの法王庁宮殿、アヴィニョン橋(サン・ベネゼ橋)、ヴィルヌーヴ・レ・ザヴィニョン修道院、ニームの古代劇場、メゾン・カレ、カレ・ダール、ネモージュス1集合住宅、ポン・デュ・ガール、エグ・モルトの城壁、アルルの古代劇場・円形闘技場、サン・トロフィーム教会堂、マルセイユのユニテ、シルヴァカンヌ修道院、ル・トロネ修道院、カップ・マルタンの休暇小屋、サン・ヴェランの街並みが取り上げられていて、行ったことがある場所に撃沈マークをつけるのも一興だ。
また、「テーマのある旅」というコラムが、さらに深く掘り下げられていてとても面白い。
プロヴァンスからは、「プロヴァンスのシトー会修道院を訪ねる」「巡礼路の聖堂と装飾を訪ねる」「ル・コルビジュエの生涯をたどる旅」 が取り上げられていて、次回のプロヴァンス旅行のヒントになる。


ローマ人の物語〈27〉すべての道はローマに通ず〈上〉
ローマ人の物語〈28〉すべての道はローマに通ず〈下〉
塩野七生 新潮文庫

400年に及びパクス・ロマーナ(ローマの平和)を支えた社会の基礎設備。「インフラの父」とも呼ばれるローマ人の偉業の代表格ともいうべき、街道・橋・上下水道を徹底検証。豊富な写真や地図・イラストがうれしい。
プロヴァンスでは、ローマ遺跡が見所の1つだ。イタリア半島とイベリア半島を結ぶローマの重要な属州(プロヴィンキア・ナルボネンシス)として早くから栄えた南フランス地中海沿岸には、ドミティア街道(ローマ・ジェノヴア間の大動脈アウエリア街道の延長)が横断し、アルルには闘技場や劇場、ニームに水を運んだ水道橋、エクスやアルルに共同浴場などの遺跡が現存し、世界遺産にも指定されている。それらは全て「世界の首都」ローマをモデルにして作られた。いつでもどこでもローマ式。その点で、「すべての道はローマから発す」と言った方が、そのスゴさを理解しやすいかもしれない。


30ポイントで読み解く「ローマ帝国衰亡史」
金森 誠也(監修) PHP文庫
1776年に発刊されたE.ギボンの歴史的名著が手に取るようにわかる。属州だったプロヴァンスを知る上で、特にガリアを征服したカエサル辺りのローマの事情は押さえておきたい

世界歴史の旅 フランス・ロマネスク
饗庭 孝男 山川出版社
豊富な写真と明快な説明で10〜12世紀の中世ヨーロッパの歴史とロマネスクに関する理解が深まるとともに、フランス各地のロマネスク教会が紹介されている。プロヴァンス地方においては、「サン・トロフィーム大聖堂」「サン・ジル・デュ・ガール教会」「モンマジュール修道院」「ル・トロネ修道院」「シルヴァカンヌ修道院」「セナンク修道院」などが詳しく紹介されている

ヨーロッパものしり紀行 くらしとグルメ編
紅山 雪夫 新潮社
元旅行代理店のベテラン添乗員が、ヨーロッパのあれこれウンチクを案内する「読む観光本」。より踏み込んだ知識をもてば、他人任せのツアーより、断然ヨーロッパ旅行がイキイキしてくる。
シリーズ第二弾。
チーズやワインやレストランなどの食事から城塞や家やローマ遺跡の建築まで、ヨーロッパ旅行で出会う現地の生活文化を幅広く紹介。
プロヴァンス関連としては、ニームのローマ水道橋の建築の秘密、カマルグに住むジプシー(ロマ人)の知られざる生活、香水の都グラースの花精油の製造法などがわかりやすい文章で説明されている。

プロヴァンス 碧い海と碧い空と…
田辺 保 恒星出版

大阪市立大学名誉教授の著者が、前半部分では「ローマ時代」「キリスト教伝来」「中世」といった歴史や、後半部分では「ペトラルカ」「ミストラル」「ドーデ」「パニョル」「ジオノ」といった文学者などを通して、プロヴァンスの魅力を丁寧に紹介。
プロヴァンスの入門書として最適。旅行ガイドの次に買うならこれ。リピーターや留学生は必携。
ちなみに、イラストを担当した娘さんの作品は、Keiko Tanabe Web Siteに続々発表されている。


まだまだオススメ本あります→プロヴァンスに関する本

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