マグダラのマリアを追って(後編)
La Sainte Baume
次の目的地は、「サント・ボーム」の洞くつ
サン・マクシマンの大聖堂では思わぬものを見せられてしまいました。守護聖人のシャレコウベを飾るなんて…その感覚、現代の日本人には理解できません。小さな街にはふさわしくない大聖堂の規模のデカさから想像するに、巡礼が盛んな当時は相当潤ったんでしょうねえ、マグダラのマリアの髑髏を目玉の見世物として。ちょっと俗っぽいカンジでした。
さて、次の目的地はマグダラのマリアが30年間瞑想に隠ったと言う、「サント・ボーム」の洞くつ。地図ではサン・マクシマンの裏山ってカンジでしたが、実際には車で南へ小1時間。左手にブドウ畑が広がり、その先にうっそうとした森の中からそびえ立つ石灰岩の白い山肌。くねくねした急な山道を縫うように走って、ようやく参道口に辿り着いたのでした。
車を下りて急勾配の森を徒歩30分。途中、灯籠が2つと水飲み場が1つ。水が冷たくて生き返る〜。森が終わり岩山の山の中腹まで階段で上ると、急に視界が開けてすばらしいパノラマが。そして、目の前にはついに洞くつが!中に入るとかなり暗くてヒンヤリ。奥にはドミニコ会が守る祭壇があり、ここにも仏舎利が…正月には山の頂上でミサが行われるそうです(マグダラのマリアは天使に連れられてヒトッ飛びしていたとのこと!)。
「サント・ボーム」とはプロヴァンス語でsanto bauma=「聖なる洞くつ」という意味ですが、古くはガリア人(ケルト人)の聖地だったようです。確かに、奇妙な外観の山だし、森には寒冷地方の植物が生えているし、なんとも不思議な土地です。そんな土着信仰に習合したのでしょう…
ひたすら急な坂を上る巡礼路。帰りは下りの砂利道が滑りやすく怖い。けれども、とても清々しいハイキングでした。灼熱の夏にもかかわらずうっそうとした森は涼しく、岩肌にはトゥルー・ラヴェンダーが自生し、プロヴァンスの大地が見渡せるパノラマ。今回の旅で最も印象に残りました。 [2005.7.6]
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